DRINK ON EMPTY STMACH  005 - 3

2010年6月9日

飲むと死ぬ酒

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飲むと死ぬ酒とは


 ケニアの、このとんでもない酒の名は、「チャンガー」と言います。トウモロコシの粉が主原料の蒸留酒で、工業製品として酒屋で売られてはおりません。

 チャンガーを作るだけで密造になるのか、自分で作って飲む分には構わないが売るのは密売になるのか、法律上のことはわからないのですが、表立っては売られていないのは確かで、知り合った現地の人にチャンガーのことを尋ねたら、「道ばたで、大きな声でチャンガーと言うな」と怒られました。たちの悪い警官に聞かれたら、難癖をつけられて、賄賂を払う羽目になりかねないらしい。

 トウモロコシの粉を水に入れて沸かし、火を止めて冷まし、数日寝かせる。また沸かし、冷まし、数日寝かせる。ということを繰り返すうちに自然醗酵が進み、醸造酒になる。それを蒸留する。何回か繰り返し蒸留して、アルコール度数を高める。

 そうやってちゃんと作ったチャンガーは、飲んで死ぬことはないのですが、「チャンガーを売ること」が「危ない橋を渡ること」になるので、そういうことをする人にしてみれば、少しでも儲けを増やしたい。そこで、原酒にいろんな液体を混ぜて、量を増やして売る… ということになる。

 中には、金になれば後のことは知らない、飲むやつのことなんが知ったこっちゃない、とばかりに、何でもかんでも滅茶苦茶に混ぜて増やす…なんていう、恐ろしいことが行われる場合もあるために、時に「飲むと死ぬ酒」ができてしまう。(想像ですが、さんざん水で薄めたものに、メタノール(メチルアルコール)をどっさり混ぜたものが、やばいやつの正体ではないかと思います。「電気が消えてもまだ飲む」から想像するに…。)

 できたての原酒以外は、例えばナイロビなどの都市の店でこっそり売っているようなものは、安全かどうかを確かめる術が(飲む以外に)ない。あそこの店のは大丈夫とか言われていても、いつ「死ぬやつ」が紛れ込んでくるかわからない。なので、ケニアの手作りの地酒が飲める店を地元の人が本当に親切心から教えてくれたとしても、考えなしに飲んではいけない。

 レソトのマレアレアの村で会ったSさんも、モザンビークのマプートで会ったピーター君も、そのように注意してくれたのでした。

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モザンビークでみた朝焼け