DRINK ON EMPTY STMACH  004 - 4

2010年3月5日

四六時中酔っぱらい
四文字を連呼しながら道を
行く偉人の話

 とんでもないじいさんと、超・優秀な小学生女子の、
頭が混乱する心温まる話で、4杯目。

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そんな祖父と、小学生でプロ棋士になった孫娘


hon5.jpg 博打もすごくて、しかも強いが、どんなに勝っていても最後のレースまでやめない。最終レースまでに250万勝っていても、その250万を最終レースに一点買いで突っ込んだりする。競輪場の金貸しに、1日1割の利子の金を、100万単位で借りる。

 博打と商売の失敗で億単位の借金を作ったりもした。棋聖戦の6連覇は借金取りに追われながらのもので、どこへ行くにも借金取りが追いかけてきて、スピーカーで「日本棋院の借金王」とやられていた。

 ちなみに藤沢秀行のご母堂は、60を過ぎた息子のことを「あのバカ、チン○が立ちすぎる」と言い、毎日「立つな、立つな」と祈っていた。ご母堂94歳の時、「やっとあのやろうも立たなくなった」と言って安心して亡くなった。ご母堂は自分の墓を自分で建てたが、その名義を息子の秀行ではなく、孫の名義にしてあった。息子の名義にしたら、墓地を叩き売って飲む打つ買うをするに違いないと思ってのことらしい。


 このように抜粋すると、『勝負の極北』は藤沢秀行の奇行を集めたエピソード本のように思われるかもしれませんが、そうではないのです。

 この本は、藤沢秀行&米長邦雄の両氏が、碁・将棋・勝負・酒・女・博打・生きること・死ぬこと……などについて語り合っている、非常に中身の濃い対談集で、語られているそちらの内容こそが本の白眉であり、ここで抜粋した秀行氏のエピソードは、白眉の部分をより楽しむための前提条件のようななもの……とでもいいましょうか。

 人生を並の人に語られても聞く気も読む気もあまりしないが、こういう、藤沢秀行のようなケタ外れの人物が語るのであれば、それは聞いてみたい・読んでみたい気持になる。それを引き出したり受け止めたりするのが米長邦雄氏というのがまたよい。そういう本なのです。
(具体的にどのようなことを藤沢秀行氏が語っているのかは、ここではあえて紹介しませんので、どうぞご自身でお読み下さい。ちなみに本稿筆者:淡水魚はこの本があまりに面白くて死ぬかと思った。)

 筆者が藤沢里菜さんに尋ねてみたいと思うのは、その真の読みどころに相当する部分についてなのですが、しかしその部分は碁打ち・秀行がケタ外れの奇行の人であることと不可分であるために、ムチャクチャなエピソードだけ取り除いて尋ねることは不可能というか無意味になってしまい、従って小学生女子にそんなことについて聞くのかという問題がどうしても残ってしまう。

 たまたま読んだ藤沢里菜さんの紹介記事の中に、こんな記述がありました。

 師匠は昨年亡くなった祖父の秀行さん。じっくり手ほどきしてもらう時間はなかったが、雰囲気は吸収できたという。しかし「祖父と違い、わたしは実利を取るタイプ」と冷静に分析。


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