DRINK ON EMPTY STMACH  001 - 1

2009年11月16日

冗談みたいな動物の話で、一杯目

 人間に例えると、身長1メートル70、タマキン1メートル30。

 体の実寸は哺乳類でいちばん小さいのに、精子の実寸は哺乳類でいちばん大きく、なんとシロナガスクジラのよりもでかい。

 では、生まれてくる赤ちゃんは、でかいのか小さいのか? そもそもなに考えてそんなヘンなことしてんだ?

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人間に換算すると … 身長1メートル70、タマキン1メートル30
シロナガスクジラに換算すると … 体長40メートル、睾丸30メートル

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 こんな信じられない生き物がいると知ったのは、書店でたまたま手にした本からでした。川端裕人「へんてこな動物」。文庫本より一回りほど大きなサイズの小ぶりな写真集で、文章も充実しています。

 著者の川端裕人氏は作家で、小説の他に、環境・動物関係のノンフィクションやエッセイも多数書いており、この本が出る以前に、私は仕事でお会いする機会がありました(当時関わっていたラジオ番組にご出演いただいた)。書店でこの本を見かけ、「あ、川端さんの本だ」と思って手に取り、ページをめくって、のっけに出ていたのが、件の信じられない生き物。

 睾丸が体の4分の3もあるという、その冗談みたいな動物は、ハニーオポッサムといい、オーストラリア西部のごく限られた地域(フィッツジェラルド川国立公園)に生息する哺乳類(有袋類)。本をじっくり読んでみると、へんなところは睾丸系の他にもたくさんあり、とてつもなく極端な生き物だったのです。

 体長(しっぽを除く)は4センチとカブトムシより小さく、体重はわずか10グラム。しかし睾丸は3センチ。大きいのは(右か左かわからないのですが)一方だけで、小さな方はないに等しいくらい小さく、極端な片キン玉デカ。その睾丸で作られる精子の長さは0.3ミリ。(これらをヒトやシロナガスクジラに換算すると、この文冒頭のような数字になるのですが、念のために書き添えると、著者の川端氏は本の中でそんなアホダラな換算はされておりません)

 では実サイズではどうなのか。驚いたことに、体長4センチしかないハニーオポッサムの精子は、体長40メートルもあるシロナガスクジラの精子よりもでっかくて、なんと全哺乳類の中で最長なのだそうです。4センチしかない生き物の精子が、40メートルもある生き物の精子より、でかいのです。ほんとかよ。

 しかし……。

 生まれてくるこどもはたった5ミリグラム(1グラムの200分の1)しかなく、こちらは哺乳類最小クラス。

 これらをまとめると……

  • *体長        哺乳類最小クラス
  • *体長対睾丸の比率  哺乳類最大級
  • *精子の長さ     哺乳類最大、No.1!
  • *生まれるこども   哺乳類最小クラス

 なんという極端な生き物なのでしょうか。そんな小さな体で、そんなでっかいキンタマをして、そんなバカでかい精子を作り、ウルトラ小さい赤ちゃんを作って、お前なにがしたいねん?

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