地球の全部で暮らしてみたい 『全額回収一生旅行』始末記編 000 - 3
2000年 夏のある日 〜 2001年1月4日まで
『全額回収一生旅行』
旅を終えて家に帰らずにすむ、簡単な方法。
出発!
出発二日前 従弟経営の旅館(父の実家)大鹿村の塩湯荘にて
でも、覚悟を決めました。
旧知の人々も、売り込みで初めて会った方々も、皆さん例外なく猛烈に応援してくれたのです。
俺はバカかもしれないが、このような考え方および手段で、一生定住しない暮らしを模索するのは、今どきの個人の在りようとして、面白いのではなかろうか。
俺がやろうとしている暮らしは、実はほとんどの人がやってみたいと思いながら、いろんな理由でやれずにいる暮らしなのではあるまいか。
そうでなければ、こんなにみんなが応援してくれるわけがないではないか。
ちょうど二十世紀最後の年の後半でした。
二〇〇一年の元日に日本を発ち、二十一世紀の初日から、地球の全部を渡り住む暮らしを始めてやろう。二十一世紀の幕開けから、人生の幕引きまで、俺はもう、生涯定住しないのだ。
行き先は、当面アフリカ、そのあと南米。二十一世紀の最初の一年は、人類が誕生した大陸と、人類が最後にたどり着いた大陸で、過ごしてみたい。
その先のことは、そのとき考えよう。
当座の予算は百万円に設定し、それで一年から一年半を過ごして、その間に出費と稼ぎの折り合いをつける。旅のスタイルは、パソコンを詰めたザックを背負い、土地の公共交通機関で陸路を移動して安宿を泊まり歩く、バックパック(しか予算的に選択肢がない)。世界のいろんな土地土地で、出費は切り詰め、書いて稼ぎ、その収支を帳簿に付けて公開し、経過をまるごと、読み物にする。
せっかくなので、宝くじも買ってみました。
三億円が当たったら、何年旅ができるのか。
試しに計算してみたら、物価の安いインドやネパールなら六〇〇年は貧乏旅行ができる勘定になったので、「すごい! 二十七世紀まで旅ができる!」と、大興奮して買ったのですが、当たりませんでした。
当たってほしかった。
三億円当たった方には、私が果たせなかった「インド・ネパール貧乏旅行、子々孫々末代まで延々六〇〇年の旅」の夢を、ぜひ実行に移してもらいたいものです。